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zoom RSS 集団的自衛権の議論と憲法学者のスタンス

<<   作成日時 : 2015/06/12 16:59   >>

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 国会で審議中の「安全保障関連法案」について、6月4日の憲法審査会で有識者・参考人となった3人の憲法学者がそろって「憲法違反」との主張。人選の問題はあったにせよ、学者同士のディベートの場とならなかったのは残念。
 憲法学者は現実政治を知らない―これが結論。そしてやはり「集団的自衛権」の言葉だけがおどった中身のない議論だった。
 今回の「安全保障関連法案」は、いわゆる(一般的)集団的自衛権は認められない、が前提条件。その根拠は「専守防衛」(受動的防衛戦略)の国是となった72年政府見解(内閣法制局長官答弁)にある。集団的自衛権を認めるべきとの提言・「芦田修正論」は従来の政府見解と論理的に整合しないので採用できない、と安倍首相が明言して今回の与党協議、閣議決定、法案作成がなされている。
 だから政府・自民党が持ち出した最高裁・砂川事件判決(統治行為論)が根拠ではない。これが混乱の第二幕。「合憲」とする憲法学者が何人いるかは枝葉末節でしかない。仮に憲法学者にしてそのような発言に追従しているとしたらその資質を疑う。憲法解釈学の意見でしかないとの評価になる。 学者には多様な見解を示す役割はあるものの、その見解や結果に責任を負う訳ではない。

 そもそも、今回の「安全保障関連法案」は言葉としての集団的自衛権を認めるかどうかの議論ではない。それなら初めから「いわゆる集団的自衛権は認められない」(=海外派兵は認められない)と結論が出ている。専守防衛は日本の国是だ。国民の率直な気持ちは、外国へ戦争に行く軍隊はいらない、今の自国を守る自衛隊でよいというものだろう。自衛隊には侵略戦争のための空母、弾道ミサイルの装備はない。

 議論のポイントは、厳しい安全保障環境の現状をどう見るかにある。議論すべきは与党協議で具体的検討事例となった「武力行使8事例」の評価、「安全保障関連法案」と72年政府見解との整合性、歯止めとして武力行使の新3要件の内容、「明白な危険」の判断基準のはず。これが限定容認の意味。万一の「存立危機事態」の際に従来の「暗黙の了解」(不文法)に基づく内閣総理大臣による初動対応で良いのか、要件・判断基準を明文化しておくのが立憲主義の上から良いのかは、憲法学者に意見を聞くまでもない。
 憲法学者はいわば相手の土俵に入って議論をしていない。自分の土俵・憲法学から意見を述べているだけと映る。これでは議論にもならない。そして議論の根幹にある日米安保条約の是非について議論を深めようとする努力を全く欠いている。学者としての怠慢と言える。安保条約を肯定・黙認して、「安全保障関連法案」を否定するのは首尾一貫していない。

 最高裁は憲法の番人と言われる。しかし日本の裁判所は具体的な事件・訴訟に即して判断をする性格のもの。そこで当面、内閣法制局は憲法を含む「法の番人」の役割を担うことになる。今回、内閣法制局長官は国会で「安全保障関連法案」は72年政府見解と整合性がとれていると答弁している。憲法学者はここを争点とすべきもののはず。新聞報道を見る限り、なぜ「憲法違反」なのか納得できる論理展開がない。

 立法、行政、司法は三権と称される。ともに現実の事態に対応して広い意味での法を制定・創出する機能を持っている。実は1970年当時、教育を第四権とすべきとの議論があった。1970年とは70年安保闘争で大学紛争により大学が揺れ動いた時期である。結局、機動隊の導入により大学の自治と学問の権威は失墜した。その反省もないままに45年が経過するが、大学が知識の切り売り、資格取得の場でしかないのは変わりがない。学者・教育者のモラルの低下も著しい。学者を有識者と呼ぶのに違和感があるのは私だけだろうか。私は大学とは大学で学んだ知識を全て忘れた後に残るもの、と今でも思っている。そして人が心から納得することとは、その人の論理が正しいと分かり、かつその人柄が信頼できると思うからに違いない。

【注】6/17の党首討論で安倍首相は「法案は72年政府見解に基づき憲法の範囲内」と明言。

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