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zoom RSS 集団的自衛権の議論−議論の推移、海外の反応−

<<   作成日時 : 2015/09/21 16:07   >>

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 9月19日未明、平和安全関連法が成立した。安保法制の性格上、報道がまず伝えるべきことは各国の反応がどうだったかである。驚くべきことは新聞にその視点がなかったことだ。既に「正確、客観的な報道」の視点は失われている。ニュースとは新しいことを伝えるものに違いないが、他紙よりも早くを競うだけで、なにが真実なのか論点が明確でない記事がしばしばみられる。その中で唯一欧米メディア(英米仏)の反応を伝えた時事通信を資料として挙げた。いかに日本は誤解されいているかの典型例となっている。

【コメント】
1 積極的平和主義 
 日本が抑止力を高めることに隣国の中国、韓国が警戒をするのは当然。本来抑止力とは他国に脅威を与えるのがその本質だからである。しかし欧米の新聞TVの報道は興味深い。ここにも論理と意見(報道)の混同が見られる。
 論理としては今回の平和安全法制によって日本の「専守防衛・非核三原則」の平和国家路線は何ら変わらないと説明できる。自衛隊は海外に戦争に行く軍隊ではない、空母や弾道ミサイルの装備も保有していない。日本はフルサイズの集団的自衛権を行使する「普通の国家」になったわけでもない。なぜ海外メディアに「軍事的役割」「平和主義放棄」などと報道されるのか。それは米英仏が「普通の国家」であり、また日本は「日米安保条約」に基づき米国と共同軍事行動をとる国だと誤解しているからに違いない。日本人なら「専守防衛」の国是から安保条約は片務性だと当然に理解している(ただし国内に基地の代償がある)。日本はスイス、オーストリアなどの永世中立国でも非武装国家でもない。しかしそれに準ずるような世界に冠たる平和憲法の国で、唯一の被爆国でもある。このため日本は恒久平和と核兵器廃絶を世界にアピールする十分な資格がある。この外交的努力こそが積極的平和主義の本質に他ならない。

2 司法判断
 実は反対派が最も恐れるのが司法判断である。現・内閣法制局長官は今回の平和安全保障法案について「72年見解と整合性がとれている」と国会で明言している。法律解釈としてはこれで一つの結論が出ている。日本の裁判所は具体的な事件・提訴があって始めて憲法判断をするもの。 今回仮に反対派が人格権(人間の生命、健康、生活環境からなる個人的利益)の侵害として裁判所に提起しても、砂川事件判決と同様に高度の政治的判断を要するものとして統治行為論により合憲判決となるのは明らか。このため反対派による提訴は政治的キャンペーンの支障となるので考えにくい。欧米のメディアもこれを深く理解して報道している訳でもなさそう。今回欧米の反応を見る限り、こうした誤解を避けるために日本は情報発信力を高めていくことが求められる。

3 集団的自衛権限定容認−議論の推移−
 今回の平和安全法制は集団的自衛権限定容認と国際平和協力(PKO協力法)の2つからなっている。集団的自衛権限定容認は万一の存立危機事態発生に備えたものである。法律が成立しても平時ではなにも変わらない。典型例として示された武力行使8事例のうちホルムズ海峡(オマーン領海)の機雷掃海、邦人輸送中の米艦防護は通常想定できない。唯一想定されるのは狂気の指導者に支配された独裁国家やテロ集団による弾道ミサイル発射くらいである。しかし全面的な核戦争で生き残れる国はどこにもない。実は法律成立の現時点から振り返ると集団的自衛権限定容認とは国会での議論の中で次のように整理されてきた。
当初・・・限りなく個別的自衛権に近い集団的自衛権行使(定義論)
最終・・・米国との共同軍事行動を契機とする場合もあるが、目的は日本の存立危機事態に限定(目的論)  
 これが従来の72年見解の枠内と判断する理由で、専守防衛の国是、平和国家路線は今後もなんら変わりがないと政府が説明した内容である。与党協議の中で微妙な力関係があったと言えそう。もちろん、「普通の国」に認められたフルサイズの集団的自衛権(海外派兵)が今回認められた訳ではない。

4 国際平和協力
 自衛隊の活動が具体的に拡大するのはむしろ国際平和協力(PKO法)の方である。日本の長年のPKO活動は国際的に高い評価を得ており、その期待に応えるために他ならない。法律成立をうけて、今回新たに「駆けつけ警護」が実施計画に盛り込まれることになった。なお、自衛隊派遣には@国連安全保障理事会の議決A例外なき国会承認B隊員の安全確保規定の自衛隊派遣3原則により歯止めが定められている。   

5 新聞の視点・スタンス
 平和安全法制は分かりにくく、国民から賛成を得ることが難しいのは過去の日米安保改正、PKO協力法制定の例をみれば分かる。意見として憲法違反ではないが反対、議論・説明が不十分との主張はあり得る。しかし賛成、反対の立場に違いがあるが、新聞報道に「正確、客観的な報道」の視点・能力がなく、粗雑で信頼性が著しく損なわれていると思うのは私だけだろうか。
 実は集団的自衛権の議論の根幹にあるのは日米安保の是非である。しかし新聞はまともにこれを報道していない。また抑止力の究極は核兵器抑止力である。非核三原則(核兵器をもたず、つくらず、もちこませず)を国是とする日本が核兵器依存国なのはいかに矛盾しているかの報道もない。厳しい安全保障環境の現状から当面抑止力を高めるべきとの議論はあり得る。しかし、それだけでは日本の将来を見据えた議論とはならない。
 今回法律成立後に自社の世論調査で過半数が反対、反対デモも続いていると平然と報道した新聞社もあった。新聞に政権批判は構わない、あってよい。しかし時流に流された論評は危うい。政権が変われば論評も変わるのだろうか。人が理解するのは論理。定見なき論評は単に一つの意見とみなされるだけ。
 昨年7月1日に閣議決定され今回法案が国会で審議がスタートするまでの間、実は新聞には集団的自衛権の報道はほとんど見られなかった。これはもはや新聞の怠慢と言ってよい。敢えて言えば成熟した民主主義社会、複雑な相互依存関係の中にあって新聞の視点・スタンスが政権批判だけではもはや成り立たないのは明らか。今、新聞に求められているのは民衆、人権、人間、多様性の視点にたった正確な報道のはず。それができない新聞は読者を失い、見向きもされなくなる。

資料
欧米メディアが速報=「平和主義放棄」の報道も―安保関連法成立
時事通信 9月19日(土)7時8分配信
 19日未明の安全保障関連法成立は、海外通信社が速報で伝えた。
 英BBCは「海外での軍事的役割拡大」、米CNNは「平和主義を放棄」などと報道。集団的自衛権の行使を可能にし、戦後日本の安保政策の転換点となるだけに、欧米メディアの関心の高さを示した。
 「歴史に残る政策転換」「物議醸す安保関連法成立」。参議院本会議での法成立直後、ロイター通信やAFP通信が速報を流した。
 AFP通信は、国会議事堂の周りに連日、反対派の市民ら多数が集まったことを取り上げ、「かつてない規模で国民の怒りが示された」と指摘。安保関連法が最高裁で違憲判断を受ける可能性などに言及し、自衛隊が直ちに戦闘地域へ派遣されるわけではないと報じた。
 BBCはウェブサイトで、「集団的自衛権とは何か」「政策転換の背景は」「どんな軍事行動が合法か」などとQ&A形式で説明した。CNN(電子版)は賛成派と反対派の意見のほか、抗議デモ参加者らの写真を掲載。防衛費や武器輸出の増加に対する懸念なども伝えた。
【注】AFP通信;フランス通信社

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