美しく悲しい余韻を残す韓国映画「永遠の片想い」

画像 ヒロインが2人とも亡くなり、思わず「えーっ」と絶句する映画。甘く切ない青春ラブストーリィ、2002年制作の韓国映画「永遠の片想い(恋愛小説)」。美しい映像と音楽で、いつまでも心にしみ込むように余韻が残る映画である。2006年12月現在ヤフー、フレッツ・スクウェアで無料視聴が可。

 監督、脚本はフレッシュな感性あふれる若手のイ・ハン。出演は人気若手俳優でチャ・テヒョン(男優)、ソン・イェジン、イ・ウンジュ、ムン・グニョンと豪華。ソン・イェジンは夏の香り、四月の雪でおなじみ、いまや韓国映画界で至宝の存在。イ・ウンジュは火の鳥、スカーレットレターに出演、しかし24歳の若さで自殺。この映画の中では好演技で、2人の女優の青春真っ盛りの姿がきらきらとまぶしい。
 珍しいところでは秋の童話に子役ヒロインで出演し、いま人気急上昇のムン・グニョン。まだあどけない少女の雰囲気が残る。

 脚本は読んでいないので映画をみた限りのストーリィを言うと、この映画は薄幸の2人の女の子の、相手を思いやるあわい恋心を切々とつづったもの。同じ男の子を好きになった親友同士の2人の女の子が、お互いの気持ちを察して気持ちを伝えることを抑える。実は、2人とも病弱で不治の病に冒されているとの設定。やがてヒロイン2人は前後してその恋心を、幸せな思い出にして亡くなってしまう。残された男の子はどこまでも相手を思いやる2人の深い思いやりを届いた手紙で知る、というもの。

 登場人物はほほ3人が中心と少ないが、美しい映像と音楽で引き込まれる映画である。幼い頃、5年前、現在と映画の中で、時間を行ったり来たりする叙情的な画面構成も上手い。
 そしてこの映画は「手紙」と「写真」がキーワード。この映画の時代設定は、写真はモノクロ、電話はダイヤル式の時代。また、本当は哀しい意味が込められているが、ソン・イェジンがピアノに合わせてかわいらしく歌うシーンもある。

ストーリィ1
 ある日、ジファン(チャ・テヒョン)のもとに差出人不明の手紙が届く。それは大量の出されていない手紙をみつけた郵便配達員が気を利かせて配達したもの。女性からの兄への手紙に妹のジュン(ムン・グニョン)は興味津々。
 いまはタクシー運転手のバイト、趣味のカメラは止めてしまったジファン。封筒に入っていたモノクロの1枚の写真とそこに書き込まれたメッセージを見た瞬間、好きだった彼女との懐かしい思い出が蘇る。それはギョンヒからのものに違いないと確信する。

ストーリィ2
 5年前の夏、写真好きで活発な大学生のジファンはバイト先の喫茶店で偶然、高校を卒業した親友同士の女の子スイン(ソン・イェジン)とギョンヒ(イ・ウンジュ)と出会う。清楚なスインに一目惚れしたジファンのストレートな告白がきっかけで、3人は友だちとして付き合い始める。
 遊園地や映画に行き、他愛ない相性テストをしたり、一緒にかけがえのない日々を過ごす。物静かなスインと活発なギョンヒ。性格の違う女の子だが、実は2人とも病弱で共に長い入院生活。そのため「心が痛い」恋をした経験はない。
 女の子2人は病弱なため大人になったのに一度も親元を離れて旅行すらしたことがない。2人のたっての願いで先輩の車を借りたジファンは、3人で家出するように旅行に出かけ、海と山の景色を眺め楽しい時間を過ごす。
 2人の女の子はともにやさしいジファンに惹かれる。しかしジファンの気持ちはいつしかスインから活発なギョンヒに傾いている。そしてそれを察して身を引くスイン。
 山に出かけた3人は途中で冷たい雨に打たれて病弱なスインが寝込んでしまう。このことでスインは病状が進行する。自分が旅行に誘った親友の病気が不安でたまらないギョンヒ。そのギョンヒに寄り添うジファン。いつしか2人はささやかなファーストキスを交わす。
 数日後ジファンはスインあてにギョンヒとの仲を取り持って欲しいと手紙を書き、それをギョンヒ本人に託す。しかし同じくジファンに惹かれるスインの気持ちを察したギョンヒはそれを破り捨てる。
 スインとギョンヒは突然、理由も告げないままジファンの前から姿を消す。ジファンは2人の住所も電話番号も知らない。やがて諦めた頃久しぶりにギョンヒから電話。飲み屋で会った2人だが、心のすれ違いから互いに相手を「重荷になった」と言い、別れてしまう。
 しかし残ったジファンは酩酊して転倒、手にけがをするが意識不明。去りがたく陰から見ていたギョンヒは、とある部屋にジファンを寝かせて傷の手当てをする。そして、そっと2度目で最後のキスをして去っていく。こうして5年の歳月が流れた。

ストーリィ3
 その5年後、何通かの手紙を受け取り、会うべきか悩むジファン。結局ジファンは手紙の消印から差出局を尋ねるものの、差出人は分からない。2人が卒業した高校を尋ねて確認すると、そこで一人は死亡した、もう一人はソウルにいないと告げられる。ようやくその住所を尋ねてジファンが再会したのは好きだったギョンヒ。
 そして5年間の女の子2人の消息が明らかになる。ジファンを悲しませたくないらと黙ってジファンの元を去り入院したスインは、病気が悪化してすぐに亡くなった。それを看取ったのが同じ病院に入院した親友のギョンヒ。スインは最後にジファンへの手紙を親友に託す。
 実は最後に飲み屋でジファンに「重荷になった」と別れの言葉を言ったのは、親友のスインを亡くしたすぐ後のこと。ジファンが悲しむからとスインの死は知らせなかった。ギョンヒもジファンに心をひらく気持ちの整理ができていない。そしてギョンヒ自身も親友を亡くして病状が悪化しつつある。
 ギョンヒは残り少ない人生を一人でひっそりと過ごした。ジファンへの差し出されない手紙を書くのが日課、その中身は自分が撮ったモノクロ写真とそこに書き込んだメッセージ。写真の趣味はジファンからのもの。
 こうして5年ぶりに再会した2人は先輩の結婚式で、自分たちのツーショツトの写真をとる。ギョンヒは花嫁のように髪飾り、手にはブーケ、これが2人の最後の写真となる。

ストーリィ4
 死期を察したギョンヒはジファンへ最後の手紙を送る。そこには5年前に亡くなったスインから託された手紙も同封されている。スインの手紙は自分の感情は抑え、お互いに好きあっているはずのジファンに親友のギョンヒのことをよろしくと頼むもの。そしてギョンヒの好きな食べ物、喜ぶ言葉や行為のアドバイスも。
 一方ギョンヒの手紙には「幸せだった、楽しい思い出ばかり、愛している」の文面。そして最後に「さよなら」の言葉。
 ともに相手を悲しませたくない、相手のことだけを思いやる気持ちが切々と伝わる手紙。去って行った2人の女性から届いた、永遠の片想いの手紙である。

 韓国ドラマ「秋の童話」の視聴をきっかけにすっかり韓国のドラマ、映画にはまった私。アジアで韓流ブームのきっかけとなった韓国ドラマ「秋の童話」はソン・スンホン、ソン・ヘギョ主演。病院の手違いから子供の入れ替わり、兄妹の心の恋愛、不治の病、そして悲しい結末。
 同じ年頃の娘を持つ父親の私としては、涙なしには見られないドラマだった。子どもは自分がこの世に残し、残していくもの。そう思うと子どもとは妙に愛おしく、哀しい存在である。

 韓国ドラマ、映画もひと頃のブームは去って、全体的に少し食傷気味の状態。見方によっては落ち着いて評価ができるようになったとも言える。もともと韓国ドラマ、映画は身分の差、財閥、不治の病など筋書きがワンパターンと指摘されていた。
 この韓国映画「永遠の片想い」は、美しい映像と心地よい音楽で、心にしみこむような余韻を残す良い映画に仕上がっている。他人を好きになる楽しさ、他人を思いやることの大切さを味わうには絶好の、お勧めの映画です。
 私も年頃の2人の娘を持つ父親としての思い入れからか、涙腺が緩むように久しぶりに心から感動した映画だった。

 2005年2月に24歳の若さでこの世を去った女優イ・ウンジュ。私の記憶しているところでは、イ・ウンジュはこの映画のプロモーションで2004年12月に北京を訪問。共演者ソン・イェジンと一緒の記者会見では、イ・ウンジュはあまり笑わず、笑顔も作り笑いだったとの報告がある。この頃からイ・ウンジュはうつ状態で、沈み勝ちだったのかも知れない。
 この映画のラストに恋人へ2回、「アンニョン(さよなら)」と最後の手紙で語りかけるイ・ウンジュのやや高めでかすれた声が流れる。画面は空の風景のアップで、象徴的なシーン。私にはイ・ウンジュの視聴者全員への別れの言葉のように聞こえた。

【追記】
 無料のヤフー動画で2007年5月30日から9月29日まで、この韓国映画がまた視聴ができるようになりました。

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