sey

アクセスカウンタ

zoom RSS 懐かしさと違和感が残った映画「ある愛の詩」

<<   作成日時 : 2014/10/17 20:52   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

 最近、フランシス・レイの「ある愛の詩」を懐かしく聴く機会があった。1970年の映画Love Story(Where do I begin)のテーマソングである。
画像
















 この映画は若いカップルのピュアな愛の描写と「愛とは決して後悔しないこと」Love means never having to say you're sorry(to me.)【新語/流行語】 のフレーズで大ヒットした。
 今から40年前、私の青春時代の思い出とつながるメロディと映画だが当時、映画館で見た記憶が定かでなく、妻に聞くと一緒には観ていないよう。著作権保護のため残念ながら現在ネットでの動画視聴は不可、DVD取り寄せ・購入へ。
 ストーリィ自体は身分違いの恋、ヒロインの不治の病(白血病)をテーマにしたメロドラマの定番、王道。現代と比べると画質、音質は劣るものの、素朴な映像構成で静かに心にしみる上質の内容となっている。逆に、今の演出過剰気味の映画やドラマよりよっぽど素直で良いと思った。この映画では登場人物の会話を視聴者がしっかりと追わないとだめだが、かえって自然。なお、決め台詞の「後悔」は日本語意訳で、sorryの原意はもちろん「謝罪」。
 視聴してみると、心地よいテーマソングとともに70年代の懐かしい風景、点描が思い出されて心に残った。個人的には訪問したことのあるニューヨークのセントラルパークとその東の五番街が懐かしく思い出され、ボストンのハーバード大学キャンパスの映像はとても美しいと感じた。
 なお、この映画について制作したアーサー・ヒラー監督は、他人を思いやる心が大切との訴えが視聴者に受け入れられ大ヒットしたと解説している。

1 懐かしさ
 まず初めに感じた懐かしさ。
 60〜70年代は世界的な熱病のように若者が既存の価値観、体制に反抗した時代と言える。ナンセンスという言葉が流行、退廃的なヒッピー、ドラッグなどのアウトローがもてはやされ、ぼさぼさの長髪とサイケデリックな服装が流行った。そしてビートルズの音楽が世界を席巻した。
 泥沼のベトナム戦争敗戦(1975年)によりアメリカ社会は倫理的、道徳的に大きく疲弊した時代でもある。隣国の中国では文化大革命(1966年-1976年)のため知識人・技術者の下放、儒教の長幼の序破壊で、大きな社会混乱が生じた。
 そして日本は60年安保闘争と70年大学紛争で機動隊の導入、学問の権威と大学の自治は失墜した。社会的な閉塞感が充満した時代だったが、やがて波が引くようにすべては元の場所に戻った。そして最後は個人主義が矮小な自己中心主義に堕した時代と評価される。時代の閉塞感がこの純愛映画を新鮮なものとしてヒットさせた理由のよう。テーマソングの歌詞の中では、
「The simple truth」「This empty world」「(So,....)I'm never lonely」 などのフレーズに時代が反映されていると私は感じた。 
 40年前のこの映画は自分の青春時代を思い出させるものとして貴重。人は子どもを見るとかつての自分を思い、老人をみるとこれからの自分を思って、来た道行く道の時間の流れの中で変わらない自分を感じるもののよう。

2 違和感
 そして次に感じた違和感。映画の設定では、
【白血病】
 白血病は現在では必ずしも不治の病ではない。抗がん剤、放射線照射、骨髄移植さらに遺伝子治療がある。
【恋愛】
 現代の脳科学の知見によれば恋愛とは「ドーパミンなどの脳内快感物質による理性(前頭前野)の一時的麻痺」であり、種の保存のために必要だが長くても4年くらいで分泌量が減るように初めからセットされているものと説明されている。いわゆる愛が冷めた「3年目の浮気」はこれで説明できるとか。なお、母性に象徴される利他行為の場合は脳内にオキシトシンが分泌され幸福感を感じるもののようで、こちらには永続性がありそう。また、男性は初恋(失恋)の思い出を忘れないものとよく言われる。理屈っぽい男性はプラトニックになりやすく、現実的な女性とは少し異なるよう。
 このため今とは客観的背景、条件が異なり違和感がある。もちろん私は恋愛がドーパミン効果でしかない、と主張するつもりはない。

【愛の本質】
 そして愛の本質での違和感。
 この映画は純愛物語としてヒットしたが、現代の視点からすると単なるエンターテイメントと映る。主人公は一人の女性と恋に落ちたが、一方で旧世代の父親には反抗・拒否、普通の家族関係を築けないとの設定。この時代の風潮ではある。大学卒業まで結婚は待てとの父親の助言自体は間違っていない。
 人は子育てと看取りを通じて初めてより高次の愛を体験するもののよう。それは共に他者に奉仕する利他の行為であり、人はより優しくなれる。子どもは親の愛を受けて育ち、やがて兄弟・友人と一緒の楽しさを味わう。そして次のステップが恋愛となる。 
 愛の本質とは、自他共の幸福である。親をも愛せない偏狭、利己的で他人を思いやる心がないのは人間失格となる。だからこの映画は、純愛だが性愛(男女の愛)でしかなく、言葉の本来の意味でいう、愛ないし慈悲の物語ではない。逃避的愛とも思える。日本語で言う情愛とも異なるよう。現代の視点からすると、永遠の愛、人間復権の映画とは呼べそうにない。
 DVDケースのジャケットには仲睦ましいカップルの姿がアップされている。実はオリバー役のライアン・オニール(現在73歳)もジェニー役のアリ・マッグロー(75歳)も共に結婚、離婚を繰り返していて、残念ながら実像は作品からのイメージとほど遠い。離婚は悪いことではないが、この2人のその後は芸能人によくある次から次のゴシップの例に漏れないよう。ライアン・オニールは派手なプレイボーイとしても有名だった。40年たった今、DVDジャケットでカップルの姿を見ると違和感を禁じ得ない。時間で色あせた愛のメーキングと表現できそう。厳しい歴史の評価ではある。時間は全てを解決する。2人の今後の人生が穏やかなものであることを祈りたい。
 日本語で言えば「愛とは後悔しないこと」ではなく、後悔しても「愛とは許すこと、受け入れること」と私は思うのだが、どうだろうか。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
懐かしさと違和感が残った映画「ある愛の詩」 sey/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる